【研究報告】黒い煙に隠された鉄ナノ粒子 大気汚染の実態を磁性から解明
金沢大学環日本海域環境研究センターの松木篤准教授、京都大学大学院エネルギー科学研究科の土屋望助教、富山大学学術研究部都市デザイン学系の川﨑一雄准教授らの共同研究グループは、大気エアロゾル試料の磁性とブラックカーボン(BC)の観測という独自の組み合わせによって、新たな大気汚染の判別法を確立し、燃焼由来マグネタイトの動態を明らかにしました。
本研究ではマグネタイトの磁性に着目し、能登半島に位置する観測サイトで 採取した実大気エアロゾル試料の残留磁化を超伝導磁力計で非破壊的に検出す ることで、世界で初めて 1 日ごとという時間分解能でのマグネタイトの通年観測に成功 しました。燃焼指標である BC の観測データや詳細な化学分析結果との比較から、マグ ネタイトが石炭燃焼と強く関連し、大陸からの越境汚染に伴って冬に濃縮する傾向があ ることが明らかになりました。こうした知見は気候影響のモデルシミュレーションや大気汚染の排出源判別に活用が期待されます。
本研究成果は、2025 年5 月 22 日に米国化学会が発行する学術誌『Environmental Science &Technology』のオンライン版に掲載されました。
プレスリリースのリンク先 ↓
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2025/07/20250704_matsuki.pdf