概要・沿革

センター概要

 日本海に大きく突出した能登半島は、東アジア大陸部から越境輸送される物質をもっとも早くとらえることができる位置にあり、人為的な影響も少ない地域であることから、その実態の把握には最適な観測拠点といえる。また,放射性核種をトレーサーとして活用することで、対馬海流による東シナ海底層水の日本海への流入量の季節変動、すなわち、東シナ海からの物質の供給量の変動を明らかにすることができ,海域における有害化学物質等の移動特性を観測することにも地の利がある。

  環日本海域環境研究センターは,この特徴を活かすため、能登半島の珠洲市と輪島市に大気の総合的な観測が可能な大気観測スーパーサイトを設置するとともに、能登町の九十九湾には臨海実験施設,能美市には極低レベルの放射能を計測可能な世界トップレベルの低レベル放射能実験施設・尾小屋地下測定室,さらに、角間キャンパス内に有害有機物のヒトの健康・生物への影響を評価することもできる附属植物園といった個性的な研究施設を置いており,これらを活用しての研究体制も当センターの大きな特徴である。また、中国分室、韓国分室、ロシア分室をそれぞれ、中国科学院大気物理研究所、韓国地質資源研究院、ロシア科学アカデミー極東支部V.I.Il’ichev太平洋海洋研究所内に設置し、国外の教育研究機関との連携による共同研究拠点を形成している。

 環日本海域環境研究センターは,平成24年度には文部科学省の共同利用・教育拠点に認定、平成29年度には「環日本海域の先端的環境・保全学に関する教育共同利用拠点」として再認定され、国内の大学生・大学院生を対象にした充実した実習とともに、国際的な教育を実践している。また、平成28年度に認定された共同利用・共同研究拠点として、環日本海域における大気と海洋の広域観測を通しての有害化学物質の輸送量と輸送過程の把握、ならびに,大気-海洋-陸域を結合しての統合環境研究による環日本海域の有害化学物質等の動態把握の研究を展開している。

センター沿革

1949年5月
理学部附属植物園設立(丸の内キャンパス.1995年3月迄)
1958年4月
理学部附属能登臨海実験所設立(1993年3月迄)
1967年7月
日本海域研究所設立(2007年3月迄)
1975年4月
理学部附属低レベル放射能実験施設設立(2002年3月迄)
1982年4月
工学部附属電気エネルギー変換実験施設設立(1992年3月迄)
1992年4月
工学部附属電磁場制御実験施設設立(2002年3月迄)
1995年4月
理学部附属臨海実験所に名称変更(2002年3月迄)
1995年6月
理学部附属植物園を角間キャンパスに移設
2002年4月
金沢大学自然計測応用研究センター設立(2007年3月迄)
2007年4月
金沢大学環日本海域環境研究センター設立(3領域8部門)
2012年7月
臨海実験施設が文部科学省教育関連共同利用拠点に認定
2015年4月
3領域8部門を2部門4領域に改組
2016年4月
文部科学省共同利用・共同研究拠点に認定