研究紹介(論文):阿武隈川を流れるヨウ素 129 の動きを解析

金沢大学環日本海域環境研究センターの松中哲也助教は、福島大学の脇山義史准教授などの研究グループと共同で、阿武隈川を流れるヨウ素 129 の動きに関する論文を公表しました。
本研究では、阿武隈川中流の黒岩地点で採取した水資料を分析し、ヨウ素 129 の濃度を測定することで、阿武隈川のヨウ素 129 濃度が福島第一原子力発電所事故前のレベルと同等であること、セシウム 137 に比べてヨウ素 129 が水に溶けた状態で移動しやすいことを明らかにしました。
本研究で示した陸域での移動量は海での動きを考える上で重要な基礎情報となり、また、水の溶存態・懸濁態のヨウ素129を同時に測定した例は国際的にも少ないことから、福島原発事故に限らずヨウ素129の世界的な循環を考える上でも貴重な知見であると言えます。
本研究の成果は 2024 年 8 月 10 日、学術雑誌『Applied Geochemistry』にてオンライン掲載されました。

◎掲載論文情報
掲載誌:Applied Geochemistry
掲載日(オンライン):2024 年 8 月 10 日
DOI:https://doi.org/10.1016/j.apgeochem.2024.106134
タイトル:Riverine 129I dynamics during high-flow events on the Abukuma River in Fukushima
著者:脇山義史 1、松村万寿美 2、松中哲也 3、平尾茂一 1、笹公和 2
1 福島大学 環境放射能研究所
2 筑波大学 放射線・アイソトープ地球システム研究センター
3 金沢大学 環日本海域環境研究センター

詳細は下記プレスリリースをご参照下さい。

※金沢大学プレスリリース
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/11/20241113_matsunaka.pdf