研究紹介:福島原発由来の放射性セシウムが太平洋を循環、10年かけて道東に到達

井上睦夫准教授らの研究グループは水産研究・教育機構との共同研究で、福島原発由来の放射性セシウムが太平洋を循環、10年かけて道東に到達したことを明らかに。

短い半減期 (2.06年) から、現在検出しうる134Csは、2011年福島原子力発電所事故由来です。供給の時期および海域の明らかな134Csは、海水循環の化学トレーサーとして有効です。本研究で、北海道道東沖合表層における低レベルの134Cs濃度を調べた結果、2020年に最大値を示すブロードな濃度変動が明らかになりました。134Csの寄与を受けた海水は、拡散しながら北太平洋北域を反時計回りに循環、原発事故後10年を経過し日本列島北東海域に戻ってきたことが、推測されます。本研究成果は、あらゆる溶存物質の時間軸を含む循環パターンに重要な知見をもたらします。

 

雑誌名:Scientific Reports

https//:doi.org/10.1038/s41598-023-34775-8

論文名:Subarctic-scale transport of 134Cs to ocean surface off northeastern Japan in 2020

発表者名:Mutsuo Inoue, Kaisei Mashita, Hiroaki Kameyama, Hayata Mitsunushi,

Yota Hatakeyama, Yukiko Taniuchi, Takuya Nakanowatari, Takami Morita,

Seiya Nagao