研究紹介(論文):有機物に富む海洋起源エアロゾルが高い付着性を持つことを発見

松木准教授、自然科学研究科大学院生大野耕平さんらの研究グループは金沢大学ナノ生命科学研究所、東京大学、広島大学、気象研究所と共同で、原子間力顕微鏡を用いた独自の評価法により、有機物を含む海洋起源エアロゾルが特に高い付着性を示すことを明らかにしました。

海洋起源エアロゾル(波の飛沫から発生する海塩粒子)は沿岸域でコンクリートや鉄製建造物に「付着」することで腐食の原因となり塩害を引き起こします。本研究では、能登半島の曽々木海岸で採集された「波の花」を利用して、より天然の環境に近い海洋起源エアロゾルを忠実に再現するとともに、原子間力顕微鏡の応用によってその付着性を定量的に評価することに初めて成功しました。その結果、糖類などの有機物をより多く含む粒子のほうが付着性が高いことを突き止めたほか、実際に大気中に浮いている粒子の中にも同様に高い付着性を示すエアロゾルが存在することを発見しました。こうした知見は、従来見過ごされていたエアロゾルが大気から取り除かれる過程とその後の環境影響を知る上で貴重な手がかりとなります。

雑誌名:Atmospheric Environment,

https://doi.org/10.1016/j.atmosenv.2022.119468


論文名:Characterization of adhesivity of organic enriched sea spray aerosols by atomic force microscopy

発表者名:Kohei Ono, Ayumi Iwata, Takeshi Fukuma, Yoko Iwamoto, Koji Hamasaki, Atsushi Matsuki