研究紹介(論文):モンゴル・エルデネト鉱山周辺河川の水質調査:モリブデン汚染の実態を解明

【モンゴル・エルデネト鉱山周辺河川の水質調査:モリブデン汚染の実態を解明】

 福士教授、本田助教らの研究グループはモンゴル国立大学・東京大学・石川県工業試験場との共同研究から、東アジア最大の銅・モリブデン鉱山であるエルデネト鉱山周辺の河川水中の重金属濃度を通年で観測し、主要河川のハンガル川では夏季にモリブデン濃度がWHO飲料水ガイドラインを超過することを明らかにしました。さらにモリブデン汚染の原因は火力発電所で利用され川に排出される地下水と、沈殿池から河川に流出する鉱山排水であることをつきとめました。

 重金属は天然水に流出しても、通常堆積物に吸着することで濃度はすぐ下がるものです。一方、観測地点のハンガル川では10km下流でもほとんどモリブデン濃度は変化しません。この原因はハンガル川のpH条件(pH > 8)ではモリブデンがほとんど堆積物に吸着しないためであることを室内実験から明らかにしました。

 

雑誌名:ACS ES&T water, doi.org/10.1021/acsestwater.1c00046

論文名: Mo Contamination in Rivers near the Erdenet Mining Area, Mongolia: Field Evidence of High Mobility of Mo at pH >8

発表者名: Solongo Tsetsgee, Akihiro Okuyama, Altansukh Ochir, Ariuntungalag Yunden, Enkhjin Odgerel, Taivanbat Batbold, Enkh-Uur Munkhsukd, Yoshio Takahashi, Takashi Munemoto, Masato Honda, and Keisuke Fukushi