市民講演会「海流が運ぶ海の幸と山の幸 -日本海における対馬海流の役割-」を開催しました。

 

10月14日(日)に市民講演会「海流が運ぶ海の幸と山の幸 -日本海における対馬海流の役割-」を開催し、日本海の海流が現在と過去において果たす役割について最新の知見を紹介しました。
49名の参加者を迎え、江戸時代の北前船が残した文化遺産、現在の日本海表層の海水循環、人工衛星による日本海の生物生産等に関する研究結果についての講演が行われました。各講演の後には活発な質疑応答が行われ参加者からは、それぞれが興味深かった、ますます関心が高まった、などの感想が寄せられました。同時に開催した北前船資料パネル展示も盛況のうちに、終えることができました。

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市民講演会 海流が運ぶ海の幸と山の幸 -日本海における対馬海流の役割-
日時:平成30年10月14日(日)14:00~15:30(開場13:30)
会場:石川県政記念 しいのき迎賓館 3階 セミナールームB(金沢市広坂2-1-1)
主催:金沢大学環日本海域環境研究センター
後援:全国北前船研究会、北國新聞社

181014-1チラシ(PDF

 

プログラム
1. 開会の挨拶 福森 義宏(金沢大学 理事)
2. 趣旨説明  長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター センター長・教授)
3. 講演「北前船がもたらした文化とその遺産」
     見附 裕史(全国北前船研究会 副会長)
4. 講演「対馬海流の流れと物質の移動」 
     井上 睦夫(金沢大学環日本海域環境研究センター 准教授)
5. 講演「宇宙から見た日本海」
     齊藤 誠一(北海道大学北極域研究センター センター長・教授)
6. 閉会の挨拶 長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター センター長・教授)

 

講演概要
北前船がもたらした文化とその遺産
見附 裕史 (全国北前船研究会 副会長)
 江戸中期から明治中頃にかけて、大坂を起点に日本海を北上し北海道までを往来した商船「北前船」。北前船はおよそ2百年間にわたって多くのヒトとモノを運び、地域経済の活性化のみならず地方文化の形成にも大きな影響を与えました。そうした日本各地に遺る文化資産も日本海の海流がもたらした恩恵の一つではないでしょうか。

 

対馬海流の流れと物質の移動
井上 睦夫 (金沢大学 准教授) 
 日本海は西北太平洋の代表的な縁辺海であり、独特の表層海水循環が形成されています。ラジウム同位体を利用することにより、この日本海表層の海水循環(特に、対馬暖流の供給源、季節変動など)を議論します。また海洋調査航海の様子についても、お話しします。

 

宇宙から見た日本海
齊藤 誠一 (北海道大学 教授)
 人工衛星から地球を観測する技術が「衛星リモートセンシング」です。この技術を通して、私たちは海の動き、海洋環境の変化、植物プランクトンをはじめとする生物生産の変動、衛星情報を活用したスルメイカ推定分布、そして漁船の分布から推測した漁業活動などを知ることができます。日本海におけるこれらの自然現象、生物現象、社会現象(人間活動)の季節変動や年々変動を追跡した結果について報告します。